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【伊豆大島】近くて遠い椿の島

may.2017

度々起こる自然災害でいくら傷だらけになっても、やはりこの島は穏やかだ。

ジェット船ならわずか1時間45分で到着する伊豆大島。いまは離島ブームの頃の様に、何かを求めて来島する人も少なくなってしまった。当時の伊豆大島を知る我々含む年配は「あんこさん」という女性の生き様に出会いたいのだが、いまやそれらは叶わない。全国各地で流行の〝ジオパーク〟を観光のメインに押出したりしているが、もう、学生の合宿や釣り、そしてサイクリストにダイバーといった、観光需要以外の目的の来島ばかりなのが事実で、結局は呑み食いせずに日帰りで帰る人ばかりだとの嘆きを島民の方から聞いた。

逆に言えば、それはネガティヴな意味ばかりでなく、この島にはまだ人々を呼び寄せるナチュラルなパフォーマンスがあるという事なのだが、先の〝あんこさん〟ではないが、どうせなら、記録の中にしか残らずただ消えてゆくばかりの過去の島の魅力を、何かのカタチで復元出来ないのだろうかと思う。若い方が移住してがんばってはいるが、彼ら彼女らは賑わった頃を知らず新しい事にチャレンジしている。しかし過去を知る島民の方々が奮起して、素晴らしい昔の文化を再現出来たならば、もしかしたらみんながいま以上に振り返るかも知れない。伊豆大島が近すぎるから人々から忘れられたというのならば、それはネガティヴな要因が根本原因ではなくて、まだ挽回の策がある気がするからだ。

客船ならば竹下桟橋から6時間の航海。数泊のキャンプで島をぐるぐると走り回った、新緑の頃の記憶でした。

[写真・文:前田義生]

 

 

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